「え…?どうするのって…」

「確かめたところで、久世の停学処分はもう下されてるわけだし、原田さんがどうにかできる問題じゃないかもしれない」

厳しくて現実的な佐山君の指摘はもっともだけど、それでも…


「何もできないかもしれないけど…でも、私を助けてくれたせいで、そのせいで停学なんて…」

「久世も納得して処分を受け入れてるんだし、原田さんが気に病むことはない。停学になるべき理由が、そこにはあったってことでしょ」

「そうかもしれないけど!でも、当事者の私が何も知らないで、久世君だけ罰を受けるなんて……。何も知らないまま、平気でいられないよ」

「久世が言わないってことは、原田さんも知らなくていいってことだよ。気にしすぎじゃないかな」

「そんなこと…!」


必死に私の想いを伝えるけど、佐山君はとても冷静に、私に言い聞かすように返してくる。

佐山君と、遠慮しないでこんなに言い合うのは初めてかもしれない。


「それに、ちゃんと謝りたいの…。停学になった久世君に呆れることしかできなかったから…」


切実な思いで伝える私を真っ直ぐ見ながら、佐山君はしばらく黙り込み、そして、小さくため息を吐いて立ち上がった。


「……ずるいな、久世は」

「え?」

突然吐かれた突拍子もない言葉に驚いて佐山君を見上げると、その顔は少し苦笑していた。


「原田さんにそこまで心配されて、ほんと、羨ましい」

「え、と…」

「久世なんて放っておけばいいって説得するつもりだったけど、……ムリそうだね」


そう諦め気味に呟きながら、佐山君は小さく笑った。