でも、あの頃と状況は変わってしまった。

久世玲人に半ば強制的に彼女にさせられ、佐山君への想いも封印したけど、そのことも忘れてしまうほどめまぐるしい日々で…。

いつの間にか、私の生活に入り込んできているのは久世玲人で…。

「………」


再び黙り込んでしまった私に、春奈は何か勘付いたように声をあげた。


『あれあれ~?』

「な、なに…?」

『もしかして、久世君のこと好きになっちゃった?』


……へっ!?

好きっ!?久世玲人をっ!?


「そ、そんなことっ…!!」

『そんなこと?』

「そんなこと…」

ない、の2文字が出てこない…。


何で…。


何で、そんなことない、って否定できないの…。


言葉が出ない自分に戸惑っていると、春奈は面白そうに言葉を続ける。


『あーあ、やっぱり好きになっちゃったか。ま、あれだけイイ男だもんね』

「待ってよっ!!好きって、そんな…」

『違うの?』

「……ち、違うもん…」


消え入りそうな声でようやく否定するけど、春奈は信じていないみたいでクスクスと笑っていた。