「で?どうすんの?」

「どうするって…」

「玲人をフって、あいつと付き合うのか?」

「そ、そんな…!!そんなことできないよっ!!」

「なんで?」

「なんでって…」



………あれ。

なんで、できないんだろう。


んん?と首を傾げながら考えていると、泰造はさも当然といった感じで続ける。


「簡単じゃん。玲人よりあいつの方がいいなら、別れればよくね?」

「え……」

「玲人と別れて、あいつと付き合う」


久世玲人と別れる……?

思いもしなかった泰造の言葉に、しばらく考え込んでしまう。



そんなことできるんだろうか…。私から別れるという選択肢は考えてなかった。解放されることばかり願ってただけで。

そもそも、私から別れたいと切り出したところで、受け入れてもらえるんだろうか。



そんな私の思考を読んでいるのか、泰造は笑いながら言う。

「ま、玲人は許さねえだろうな」

「許さない…?」

「そう簡単に玲人はお前を手離さない」

「……それは、私のことを、気に入ってる……から?」

「んー…というより、惚れてるから」

「ほっ!?」

惚れてるっ…!?

思わず持っていたゴミをドサッと落としてしまった。


「惚れてるって…!!」

「自覚なかったのか?」

「ないよっ!!」

そりゃ、ちょっとは気に入られてるとは思ってたけど…!!ほ、惚れてるなんて…!!

力いっぱい泰造に答えると、「鈍感な奴」と呆れた表情で返された。