1人になって考えたい…。

佐山君の攻撃を受けながらも、どうにか午後の授業を終え放課後を迎えた。


久世玲人からすぐさま「帰るぞ」と電話がかかってきたけど、掃除当番だからとなんとかかわし、教室のゴミを持ってゴミ捨て場に向かった。

とにかく、これから先のことを考えなければいけない…。


教室にも居づらいし、教室から出ても久世玲人が待っているし…。1人になるな、って言われてたけど、1人にならないと考えられない。


ふらふらとゴミ捨て場に向かいながら、今の状況をあらためて考えてみた。


佐山君は、私のことが好き。

しかし、私は久世玲人と付き合っている。でもそれは、いつわりの関係で本当のカップルではない。

と、思っていたけど、最近の久世玲人は本当の彼氏かのような言動を繰り返す。

いくら自分が鈍感でも、さすがに気付き始めた。


久世玲人は、私のことを少なからず気に入っている、……と思う。自意識過剰かもしれないけど、当初の久世玲人の態度に比べたら、その差は歴然だ。

以前、春奈や健司も言ってたけど……。

その時は、まさか、と笑い飛ばしてたけど、こうまでくると実感してしまう。


え……てことは、これって微妙に三角関係?

いや、でも久世玲人に好きだと言われたわけでもないし…。ていうか、気に入ってるだけで、好きだとは限らないし…。


ぐるぐるとまとまらない考えを巡らせていたその時、「よっ、魔性の女」という悪意ある声が中庭にあるベンチの方から聞こえてきた。

さすがに自分のことだとは思わず、何も反応しないまま足を進めていたけど、「おい!なっちゃん無視すんなよ」と今度は名指しで呼んできた。


「私っ!?」

なんて失礼な…!!

キョロキョロとベンチの方に目を向けて声の主を探すと、そこにいたのはいつもの3人組の一人、泰造がいた。


ベンチに寝転がりながら、ヒラヒラとこちらに手を振っている。