「で、でもっ!!私と久世君は……」

本当の恋人同士じゃないじゃないっ…!!

と叫べたら…。


むむむ、と口をつぐみながら言いたいことを言えずにいると、久世玲人が「そういえば…」と私の手を取り、手首を見てきた。


「ひゃっ…!!」

その瞬間、保健室で手首にキスされたことが思い出され、慌てて引っ込める。


「おい。菜都、見せろ」

「だ、大丈夫っ!もう大丈夫だからっ…!!」

「いいから見せろ」

嫌がる私の手を無理やり取り、久世玲人が手首を確認している。


「だ、大丈夫でしょ?もう赤くないから…だから離してよ…」

確認し終えると、今度は私の首をサラリと撫でながら満足そうに微笑んだ。


「ここはまだ赤いな」

「ちょっ…!!」

そ、そこは、久世玲人にキスマークつけられたところだっ…!!思い出させないでよっ!!


カーッ!!と真っ赤な顔をしながら久世玲人の手を振り払おうとするけど、ガッチリと掴まれたまま。

私の非力な腕力じゃ、振り払おうとしたところで久世玲人の力に敵うはずもない。



「消えたから良かったものの…。他の男の痕がついてるなんてあり得ねえだろ」

「掴まれて赤くなっただけだしっ…!!それに不可抗力だしっ…」


ていうか、私被害者なんですけどっ!!何で注意されてる感じになってるのっ!?


若干納得いかない表情で久世玲人を見上げると、今度は真剣な目つきで真っ直ぐ見据えられた。



「もう誰にも触れさせんじゃねえぞ。菜都に触れていいのは俺だけだ」


え……

な…何を…言ってんの……


真っ直ぐ見つめられながら、そんな台詞を吐かれた私はどうすればいいのか分かるはずもなく…。


真っ赤な顔して何も言えないでいると、再び頬に久世玲人の唇が触れるのを感じた。