それからも、久世玲人は私を離してくれる様子はなく…。

私の心臓は本当に壊れてしまうんじゃないかというくらい、ドキドキと高鳴っている。

ほんの数分前、佐山君に告白されドキドキしたというのに、今はそれ以上に激しく脈打っている。


あれほど心を占めていた佐山君の告白も、今では遠い昔のよう。言ってしまえば、かき消されてしまいそうだ。

それほどまでに、今の久世玲人の言動は強烈。


もう抵抗する余力なんて残ってなく腕の中でカチカチに固まっていると、久世玲人は再び私に顔を寄せ「菜都…」と、耳元で囁いた。


………っ!!

その声にギュッと身を縮こませていると、久世玲人の唇が頬を掠めた。


ひゃあぁっ!!何っ!?何っ!?


「ちょっ…く、久世君っ…」

「何?」

「な、なにするのっ…!?」

不穏な動きを始めた久世玲人に、思わず腕を突っ張りながら離れようとした。


どうにかしなければ、またされるがままになってしまうっ!!

ここ最近の久世玲人はおかしい…!!こんなことばかりだっ!!


固まって照れてる場合じゃなく、勇気を振り絞って久世玲人に向いた。


「あ、あの、久世君っ!!こういうの…、よ、よくないと思うのっ…!!」

「こういうのって?」

「いや、あの、……だ、だから、抱き締めるとか、…キ、キ、キスとか…」


自分で言っていて、恥ずかしくてたまらない。


泣きそうな顔で訴えるけど、久世玲人はおかしそうに笑いながら私の顔をのぞき込む。