「その時の原田さんが、すごく印象的だったんだ」

「その時の私…?」

「うん。いつもは落ち着いてるイメージだったけど、その時は、松田さんにからかわれて顔を赤くして怒ったり、声を上げて笑ってたり、とにかく喜怒哀楽が分かりやすかった」

「そ、そうなんだ…」

「原田さんって、こういう子なんだって。普段の教室での雰囲気とは全然違うなって」

「あはは…」

性格を偽っているわけじゃないけど、なんだか「素」を見られたような気になって、照れ笑いを返した。

微妙に恥ずかしい…。

こっそり照れていると、佐山君は私を見つめながらまだまだ続けた。


「俺にとって、ちょっとした衝撃で、……目が離せなかったんだ」

「………え?」

「原田さんの笑顔が、魅力的で、……すごく可愛くて」



…………え。

な、何を言ってんの…?

聞き間違い…?


言われたことがすぐに理解できなくて、ポカンと佐山君を見つめた。


「その時思ったんだ。この子の笑顔がもっと見たいって、……俺が笑顔にしたいって」

「佐山君…!?」


このとき、私は本気で佐山君がとち狂ったのだと思った。


佐山君は、慌て始めた私に真摯な眼差しを向けながら、口を開いた。



「……好きなんだ、原田さんのことが」