「なっちゃん、すげえな…。玲人を本気にさせるなんて」

「す、すごいって何がっ!?本気って何っ!?」

「玲人から愛を感じる」

「あ、あああ愛っ!?」

「朝から見せ付けられちゃった」


どこをどう見たらっ…!?やめてよーっ!!

健司が面白そうにニヤニヤとからかってくるけど、久世玲人は不機嫌そうに顔を歪めたまま。


「菜都、行くぞ」

と、私の腕を引く。


健司を無視することにしたらしい。

それは私も大賛成なので、久世玲人に大人しく連れられていると、「あ、そうそう」と健司に呼び止められた。


からかう口調とは違うその声に、2人で一緒に振り向く。



「玲人。頼まれてた件、昨日片付けといたから」

「……ああ、どうだった?」

「どうもこうも、雑魚だよ雑魚。ていうか、やる前にすでに玲人がボロボロにしてただろ。何でわざわざアイツらを?」

「俺を怒らせたから」

「ふーん…」


2人の間で私の分からない会話が進められていると思っていたけど……、その内容を聞いて何となく勘付いた。