その声に久世玲人も反応したようで、私への手を止め、声がした方を振り返った。

「玲人、今日早いじゃん」

そこにいたのは健司で、いつものように明るい調子で言いながら、私たちに近付いてくる。



よかった…何だか救われた気がする…。

とりあえず赤い顔を冷ませるため、さりげなく手でパタパタと扇いだ。




「こんな早くから来るなんて何事だよ。ていうか玲人、最近優等生じゃね?」

「……朝っぱらからうるせぇんだよ」


からかうような口調で話し掛けている健司が、久世玲人の陰に隠れていた私に気付いた。


「あれ~?なっちゃんも一緒だったの?」

「あ、おはよう。うん、久世君が迎えにきてくれて…」


ニコニコと聞いてくる健司の言葉に答えた瞬間、その顔は突然真顔に変わり、「……え?」と聞き返された。


え?


あれ!?何か変なこと言った…?

その変わり様に驚いていると、健司が私を凝視してきた。


「玲人が迎えに?」

「え?う、うん…」

「朝からなっちゃんの家に?」

「う、うん…」


ビクビクしながら健司の言葉に返すと、健司が驚愕しているかのように目を見開いた。