翌朝―――


久世玲人のおかげで、ほとんど眠れなかった…。

昨日のあらゆる衝撃が私の中にまだ住みついていて、思い出すだけでざわざわと胸が騒ぐ。

こんな状態で久世玲人と顔を合わせられない…。私の心臓が壊れてしまいそうだ。


はぁぁ。学校、行きたくないなぁ…。


それでも、仮病を使って休むという度胸は私にはない。


朝から大きなため息を吐きながら学校へ行く準備をしていると、パタパタとスリッパの音が聞こえ、コンコンと部屋のドアをノックされた。


「菜都~?」

「何?」

入ってきたのはお母さん。

心なしか、その顔はニヤニヤしているように見える。

「どうしたの…?」と、少し警戒しながら聞くと、お母さんの顔が一層ニヤついた。


「玲人君、来てるわよ」

「………え?」

「だから、玲人君。迎えに来てるわよ」

「……えええっ!?な、なんでっ!?」

「あら?約束してたんじゃないの?」


約束っ!?何のっ!?

ななな何で朝っぱらからうちに来てるのっ!?