そして、待つこと5分。

パタンと携帯をしまいながら、久世玲人は再び歩き出した。


「よし、行くぞ」

「何?メールしてたの?」

「いや、消してた」

「消してた?何を?」

「他の女のメモリー。全部消去した」


………。


「はああっ!?」

何やってんのっ!?全部消去っ!?

突然大声を上げた私を、久世玲人は不思議そうに見おろしてくる。

「何だよ、うるせえな」

「何で!?何してんの!?何で消すの!?もったいない!!」

「何でって…。菜都、イヤなんだろ?」

「はあ!?イヤだなんて一言も言ってないじゃない!!」

もしかしてあれか!?

いっぱい女の子のメモリー入ってそう、って言ったのがそう聞こえたってことか!?

なんてことだ!!