「好きじゃなかったら映画なんて誘わないっしょ」

まぁ、そうかもしれないけど……。


福嶋さんがあたしに良くしてくれてたのって、そういう意味もあったのかな。


「映画くらいつき合ってあげれば?」

「んー……」

「さっきからそればっかり!」



片づけていた手を止めて、窓の外を見た。

青い空に真っ白な雲。

はっきしないあたしの心とは正反対だ。



夏休みは、すぐそこまで来ていた──。