だけどやっぱり名前を呼ばれたような気がして、電車に近づく足が止まった。



「!?」



その瞬間、誰かに強く腕を引っ張られて体が反転し、誰かにしっかりと抱き締められていた。


「行くなっ」

勢いよく抱き締められ、体が後ろに傾いた。


「……とっ……!?」


何が何だかわからないまま視界に入ったドアの向こうには、口をポカンと開けた両親の顔が見えた。