人の気配もする。

だけどあたしは振り返れない。



後ろから伸びて来た手が視界に入った時。



キーンコーンカーンコーン


「!!」


静かな図書室に鳴り響くチャイムの音に思わず肩が震えた。


伸びた手は、あたしに触れることなく視界から消えた。





「戸締り、よろしく」

軽くあたしの髪を撫でると、アイツは出て行った。




「……っ」


ドアが閉まる音を聞いてあたしはズルズルと崩れ落ちた。



こんな気持ちじゃ、離れたってきっと、忘れられない──……。