「わたし、思い出したんだけどさぁ」 使う駅は同じだけど行き先は逆だということで、あたし達は駅前のファーストフード店に入った。 「ん? 何を?」 ポテトをつまんでいた手を止めて優香子を見た。 「彩の前の席の男の子。……徳永、陸?」 「うん?」 「多分、隣りの地区の中学だったかも」 「知ってるの?」 「実際に会ったことはなくて噂だけね」 「噂って?」 ……流れで聞き返しちゃったけど、あまりいい噂じゃなさそうな気が……。