その場から離れてロビーにある、椅子まで俺はその封筒を握り締めていた。 くしゃくしゃにはしないように、気遣いながら。 よく分からない感情におされて。 椅子にゆっくりと座って、そっと封筒の裏を見た。 綺麗な文字で『海ヶ崎 龍様』と書いてある。 封筒には、封をされていなくてびりびりにしなくてすんだ。 そっと中身を取り出して、その二つ折りになった便箋を開いた。