赤い白ワイン

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雨が絶え間なく降り注ぎ、雨音が気に触れるアパートの薄暗い室内。

一応でも私の家だし、それに対して自分で言うのも何だが、室内が異様に陰気臭い。

しかし、それがこの部屋の唯一無二の自慢にもならない特徴、特異的な自慢でもあるので見なかった、聞かなかったことにして貰いたい。

私が借りている狭くも広くもない一室。
リビングダイニングキッチンというには少し大袈裟だと思われる居間と、小部屋二つの三部屋ある隅から隅まで埋めるように静寂と空虚が満ち満ちている。

そんな三部屋のうち一番奥から二番目の部屋。
寝室の窓際。
私が普段使っているシングルベッドには、銀髪の青年が寝息を立てている。

余程過労していたのだろうか。
私が彼を寝室に運び、ベッドに横たわらせると、すぐさま穏やかで微かな寝息を立てて熟睡し始めたのだった。

職場もとい上司である署長には電話越しに唾が飛んできそうなほど散々に言われたが有給休暇を取って、私は何をするでもなく得体も素性も何も知らない青年に付き添っていた。

モノクロの町を濡らす梅雨は、彼の眠りの邪魔をしないように。
また子守唄を唄うように優しく降り注いでいた。