赤い白ワイン

「ああ思う」

ぅわっ!!
俺の質問に即答かよ…;

自分の一人称(体裁ぶって「私」と言っていた)の違いすら気付かないほどにショックを受けて、私は半開きの口を歪める。

だが、そんな私の内心や思考を知るわけでも、気にすることもなく彼は言葉を続けた。

「だってよぉ。
―――ほら」

ん、なんだ?

彼が私を指差す。
ついでに鋭い灰色の双眸から発せられる視線も私に釘付けだ。

指を差された私は不快感を覚えつつ怪訝な面持ちを徐に作り、自分の手許と眼前の青年の顔を交互に視線に映す。

彼はそんな私を見て、尚も不快を煽るように「ふ。」と短く鼻で笑った。

私は彼に責める眼差しを向ける。

「何だと言うんだ」

「んや。やっぱ物好きって言うより、なんか凄く愛着持つタイプかもなぁって」

青年は「くくく」と抑えるように笑う。
私は何のことやらと不思議に青年の顔を見やる。