「きーだっくん♪」 「…やっぱりお前か」 ゆっくりとこちらを振り向いた彼は、困ったように眉を少し下げた。 ため息交じりのこの声は、もう聞き慣れた。 ふと彼の持っている菓子パンが目に留まる。 「今日はパンなんだね…珍しい」 「友達が勝手に自分のやつと交換しただけだ」 「へぇー!!」 「…ただそれだけの事だろ、何でそんなに目を輝かせてんの」 「だって紀田くんの話は何でも聞いてて楽しいよ」