バスが駅前に着いてその場で解散、になるんだが、そこで村山が寺尾に直撃。
「寺尾さん。ちょっとマック寄らない?」
おいおい、いきなり過ぎだろ。隣のあーちゃんも疑わしげにこっちを見ている。
「浅野君に頼まれたの?」
あーちゃんの声にはちょいと怒りが込められている、かな?
「行ってもいいけど、浅野君のおごりだからね」
あーちゃんを釣るには色気より食い気か? つかあーちゃんの分まで?
「それなら大丈夫だよ」
こら! 勝手に決めるんじゃない!
「なら行くだけ行きましょ。由美もいい?」
多少膨れっ面ながらも頷く寺尾。ああ、確定しちゃったよ……。
今月は小遣いきついんだけどな。
仕方ない。バイト増やすか。
「じゃあ行こっか」
村山が先頭に立ち、寺尾とあーちゃんが続き、その後ろを飼い犬のように着いて行く俺。
だが、ちょっと待て。村山の分も俺が払うのか?
マックのカウンターの前で何となく違和感を感じる俺。
このメンツなら、普通は俺と村山、寺尾とあーちゃんに分かれるか、金を出す俺の所に皆集まるか、だが。
俺1人に対して向こうは3人。バーガーじゃなく疎外感を味わえってか?
「じゃあハッピーセットで……」
「村山君ハッピーセットなの? じゃあ私も。由美も?」
「ん……いいよ」
……etc。
なんか楽しくメニュー選んでいる声が聞こえてくるが、寂しくなんか……寂しいわ!
「ご注文はお決まりですか?」
カウンターの向こうからスマイル0円を提供してくれるバイトのお姉さんにオアシスを感じる。
胸の膨らみに興味が無い訳じゃないが、何となくネームプレートに目がいってしまうのは、何故だろう?
「じゃあダブルチーズバーガーのセットで、ドリンクはアイスコーヒー、お願いします」
「今なら50円プラスでLサイズセットにできますけれど、よろしかったですか?」
う、そんな0円ながら天使のスマイルを見せられるとついつい
「じゃあそのLサイズセットで……」
と答えてしまうじゃないか。