女子のフリーリレーが始まった。
我が羽鳥高校は予選1組の4コース。さすがだな。
まだ控え選手のベンチは女子で埋まってるから、コース脇に出てレース観戦。
第一泳者は立花先輩。
俺の中学やこの部でもそうなんだが、フリーリレーの場合、一番タイムの良い選手が一番手かアンカーにくる。
二番目に速い選手がその逆にアンカーか一番手。
先行逃げ切りが追い込みか、の違いだろう。
二番手、三番手は特に区分けなく、その場のノリで決めていた。
とは言え、今回は立花先輩が第一泳者になるのは致し方ないところだろう。
それと高校生初の大会だから、寺尾にプレッシャーをかけないように、との配慮もある。
……俺には配慮も遠慮もない様ですが?
審判がピストルを構える。
『位置について
よーい
パーン!』
各コース奇麗なスタートを切った。
「立花先輩、スタート良かったね」
村山の言う通り、まさに絶妙なタイミングに見えた。
潜水から順に浮上してくるが、立花先輩が最初に浮かび上がる。
個人戦ならばこの後、ピラミッドになり始めるんだが、これはリレー。
エントリータイムは4人のベストタイムの合計で決まるから、各個人は必ずしもコース通りの速さにはならない。
「立花先輩、順調みたいやんな」
「そうだな、去年みたいな事はないから、集中できるだろうし」
先輩2人の会話に軽く首を捻る。去年何かあったのか?
「ああっと。今の話は聞かなかった事、な」
慌てて話を打ち切る姿は怪しいし、そう言われると聞きたくなるのが野次馬根性。
「何があったんすか?」
「まあ、いろいろあるんやわ。けど今年は寺尾もおるし、浅野がいてるし、大丈夫やな」
寺尾はまだしも、何で俺?
「村山は?」
「ああ、瀬戸の事は任せた!」
「ハ、ハイィ!」
声裏返ってんじゃないか、村山。
さすがに1組目とはいえ4コースに入るだけあり、立花先輩はトップで50mターン。
今日は個人でも出場していて、予選も9組にエントリーしたくらいだ。
リレーとは言え、予選1組は敵ではない、か。
