ブルー・フィールド

 
 そう言えば、バッタの森田とブレストの向井も市立商業だが、エントリーしていなかったな。

 まだ一年生だし、層が厚いから、出場できなかったんだろう。

 大河原は別格だしね。性格も別格に悪い奴だが。


「浅野君?」

とそこに聞き慣れた可愛い声が……。

「あ、寺尾。今の見てた?」

 寺尾は小さく頷いて

「大河原君と仲良くなかったの?」

と小さな声で聞いてきた。

「まあね。あいつはレースやタイムが第一。俺は泳げればそれでいい。ってんでいつもいがみ合ってたからな」

 昔の話しだし、あんまり言いたくない内容なんだけど。

「そう、なんだ。大河原君ってそんな印象じゃ無かったんだけど」

「寺尾の知ってるのは、まだ一年生の頃だけだろ? 二年の夏、三年が引退した後か、俺らが部の上に立った頃から変わったからな、あいつは」

 大河原は基本的にはSS通いで、部にはあまり顔を出さなかった。

 また、ジュニアオリンピック等、全国大会にも出てたから、部長とかにも就いていなかった。

 部長は向井、副部長は森田がやっていて、大河原はキャプテンというよく分からない肩書を持っていたんだが。

 ただ、部員数が多い為、向井と森田だけでは管理しきれないし、大河原はたまにしか来ない。

 それで部室管理をしていた俺が、手伝う形で後輩の指導をしていたんだが。

 俺の指導方針はあくまでも部活にきちんと参加して、真面目に練習すればよし。

 対する大河原は、本人が実力があるからというのもあるが、結果を出してなんぼ。

 タイムの遅い後輩に対しての当たりもきつい。

 その辺りでいつもいがみ合っていた。

「それで市立商業の誘いを断ったの?」

「何でその話を知ってる!?」

「自分で言ってたじゃないの」

「そうだっけ? まあそんな昔話はいいから、未来に向かってLet’s GO!!」

「未来ってどこにあるのよ〜」

 いや、そのツッコミはちょっと違わないかな?