ブルー・フィールド

 
 7コースはずっと同じペースで隣にいるんだが、6コースがペースを上げたか、少し前に見える。

 俺もまだ余裕あるし、ちょっとペース上げてみよう。

 今までペースメーカーを勤めてくれた7コースに心の中で軽く御礼を言って、6コースを追い掛ける。

 ペースを上げたから、さっきよりはちょっとキツイか。

 しかし、これくらいなら、まだ大丈夫だな。

 あとは、このペースをどこまで維持できるか、が問題だ。

 800以上では確実にバテるだろう。

 そんな事を考えながらも、本来ゴールの筈の800mまで辿り着いた。

 これくらいになるともはやバラバラ。

 4、5コースはかなり前らしいし、6コースはほぼ同じ位置。

 7コースは身体二つは離れたかな。

 あとは、人が動いているのは分かるが、さて何コースの奴らか。

 テレビ解説の鈴木大地さん、教えてください。

 いや、スタンドでレポーターやってる岩崎恭子さんのがいいな。可愛いし。

 ふう。そんな馬鹿な事を考え始めるのは、そろそろ飽きてきたから。

 800mターンを自分では華麗に決めたと思っているが、傍目にはどうだか。

 何となく身体が重く感じる。

 やっぱり6コースにペース合わせたのは失敗か?

 腕も何となく上がらなくなってきたし、バタ足も自然に動かしているだけ。

 不思議なもので、中学時代に専門でやっていた成果か、人間の本能か、クロールで泳ぐ、と意思を持っていると自然とバタ足になっている。

 パブロフの犬みたいに。

 キックをしているとは言え、力はあまり入っていないから大した推進力は無い。

 腕力も落ちてきているし、ペースは下がる一方。

 こりゃ1500m泳ぎきれないかも。

 かと言って棄権するのはかっこ悪いし。

 第一、泳ぎきったらって条件で寺尾をデートに誘ってんだから、棄権なんてしてられねえ。

 普通、こういう場面でそれを思い出したら、火事場のクソ力が発揮され超人パワーが上がるはずなんだが。

 残念ながら俺の火事場のクソ力はどこかの神殿に封印されているようだ。

 誰か封印を説いてくれないかな。