『ひゅるり〜ひゅるりらら〜』

 ん? 電話か?

「もしも〜し?」

『あ、浅野君? 起きた?』

「ああ、寺尾か。おはよ」

 時計に目をやると、まだ5時だぞ?

『おはよ〜。ちゃんと起きれた?』

「ああ、かなり眠いが大丈夫だ。サンキュ」

 そう言って電話を切る。

 しかし寺尾は早起きだな。やっぱり女の子は支度に時間かかるからだろうな。

 ここで二度寝でもして遅刻したらシャレにならんだろうが……眠い。

 たまには早起き、とばかりに必死に万年床から立ち上がり、大きく伸びをする。

 窓の外に目をやると、うむ、さすがに大会当日。

 シナリオ通りに大雨が降っていやがるじゃないか!

 これでも中止にならないのが水泳の大会。

 とりあえずは着替えるか。

 今年から模様替えして、紺から濃紺になった部のジャージを着こんで、学校指定の青のサブバックを手にする。

 昨夜の内に準備は完璧。と言っても水着とゴーグル以外はタオルを数枚と替えのTシャツを入れただけ。

 あとは携帯と財布に、暇つぶし用の雑誌を少々(決してエロ本ではない)。

 家から集合場所の駅前までは30分。集合時間は6時。今は5時15分。

 今から出れば余裕だな。5時20分に家を出て集合場所の駅前へ。

 途中コンビニで買い物をしたが、5時50分に到着。

 誰も居ない……まあ、電車組は多少遅れても仕方ない。

 直ぐに来るだろうから待つか。


 5時55分……まだ誰も来ない。一人くらい5分前行動しようよ。


 6時丁度……おかしい。誰も来ない。

 もしかして、集合場所間違えたか?

 ちょっと電話するか。

「あ、村山? 集合場所ってどこだっけ?」

『おはよ。浅野君、早いね。駅前のマックの中だよ』

 マック? もう開店してるのか?

「という事は皆は今、朝マックって事か?」

『何言ってるの? 集合時間までまだ30分あるよ』

 あれ? 聞き間違えてたか?

『あ! そうそう、浅野君は遅刻するだろうからって6時集合って言ってあったから』

 ぶち切れていいですか?