やっとの事で掃除も終わる。

 まあ自分達が泳ぐプールだから、バカやりながらも綺麗に仕上げるわけで。

「お疲れ様! 皆ありがとうね」

 いつからいたのか、藤木先生からねぎらいの言葉がもらえたが、どうせならポカリの差し入れぐらいすればいいのに。

「それじゃあ皆、連休明けたら本格的に泳ぎ始めるからね」

 そんな簡単に言われても、なんせこちとら去年の8月末から約8ヶ月泳いでないからなあ。

「特に浅野と寺尾! 二人には期待してるからね」

 そんな勝手な期待されても……。

 藤木先生は株取引で売り時を逃すタイプだろう、多分。


 着替えを終えて、寺尾達女子が出てくるのを待つ。

 どうやら、鮎川や西岡も来るらしく、一年生8人だよ!全員集合、となるみたいだ。

「お待たせ〜」

 そう言いながら、待たせた事に悪びれる様子の無いあーちゃん。

 女子の着替えが長いのは、中学時代に慣れているから、さして気にしないけど。

 ぞろぞろと、学校から歩いて5分、走って2分の距離にあるスポーツ用品店に行くことに。

 行くのは一年生だけかと思ったら、村山の隣には瀬戸先輩が着いて来る。

 さらに飯島先輩も?

「あそこのお店は飯島先輩の親戚なんだって」

 という事は多少は安くなるのかな?

「それがねえ。いくら親戚でも、商売は別、って言われてるから」

 無駄な期待を返せ!


 店は2階建てで、それぞれ売り場も広い。

 学校指定業者だから、各部に必要な道具を揃えている為、必然的にそうなるんだけど。

「水着売り場は2階だよ」

 飯島先輩に先導されて、2階へと上がっていく。

 しかし、水着が見当たらないが?

「こっち、こっち」

 さらに手招きされて、一番奥の角まで移動したら

「この辺にあるのが、店頭にある分だよ」

 言われて見るが、種類はほとんど無いぞ?

「仕方ないでしょ。競泳用なんか、水泳部しか買わないんだし」

 うん、それは正論、たしかに正論なんだが。