「浅野君! 何とかしなさいよ!」
「何で俺が?」
「リーダーでしょ!」
ひっでぇ。勝手にリーダーにしといて。
「まあこのままメシ抜きでは、俺ももたんしな。仕方ない。村山。コンビニ行ってきてくれ」
「何で僕? そもそもこの辺にコンビニなんか無いよ」
「バカだなあ。コンビニがあるから買ってこい、じゃなくて、コンビニの有る所まで行って買ってこい、と言ってるんだぞ」
それくらい理解しろよな。
「無茶言わないで! 無理だから!」
やる前から無理無理言いやがって。
それはいいとして、さてどうしよう?
「あのね、浅野君」
「寺尾。どうした? トイレか?」
「ちがうよ〜。あの、お弁当なんだけど……」
「ああ、今鹿を狩る手段を考えているところだ。ちょっと待て」
「だから〜鹿さんを食べなくても、お弁当あるんだって〜」
何……だ……と?
「今朝、先生に話したら、忘れた人は、用意してくれるって」
「由美〜なんでそれを早く言わないのよ」
まったくだが、そもそも弁当の事を忘れていた3人には、寺尾を責める資格は無いが。
「へへへ、忘れてた」
……寺尾さんも相当な忘れんぼさんでした、ありがとうございました。
先生から受け取った弁当を手に、隣接する芝生広場へ移動。
周りには同級生も多々いる。
「寺尾ちゃん、ここにおいでよ」
と寺尾が同級生の一人、えーっと、誰だかさんに呼ばれた。
「ちょっと〜浅野君はまだ覚えてくれないのかな?」
はて? 名前、名前。
「神戸由紀! クラス委員長やってるんだけど?」
何故に語尾が疑問形なのかは分からないが、クラス委員長なら、何回かは見た事あるはずだ。
「ついでに言うと、新入生代表挨拶をした誰だかさんでもあるけどね」
そんな前の話しをよくも蒸し返す。
「しかし、神戸さん? は眼鏡をしていないじゃないか。委員長は眼鏡と昔から決まっているんだぞ」
「それは浅野君の好みだけでしょ!」