しかし、海水浴に限らず、野外で食べるおにぎりって何であんなに美味しいんだろう。
どんな高級レストランの高級料理でも太刀打ちできまい。ま、高級料理なんて食べたことないんだけど。
「で、ネタはなんだ?」
「ひろくん、お寿司じゃないんだからネタって変だよ」
「本人が変なんだから、言葉遣いも変なんじゃないの」
うわ~国語学年200位あたりの妹北田に馬鹿にされた。まあ俺も似たような順位だけどさ。
「え~とね、梅干、おかか、シーチキン、から揚げ、ハンバーグ、パスタ、わさびかな」
・・・はい?
「なあ、梅とおかかはいい。シーチキンもから揚げもよくあるものだ。ハンバーグもやりようによっては食べられるだろう。その後、なんつった?」
恐々とする俺の顔を見て、あーちゃんはにやにやと不敵な笑顔を浮かべる。
「大丈夫、浅野君にはちゃんとパスタやわさびをあげるから」
「いや、ほら、あれだ。うちは昔ながらの農家だから、梅干でいい、うん」
実際には農家どころか、田んぼも畑も貯蓄もない家だけどね。
「寺尾ってすげーなー」
馬場も木田も呆れ恐れるとでもいうのか、ガクブルとでもいうのか、関わり合いになりたくない、という目になる。
「まあ、あれだ。チャレンジは成功の母的な。そんな格言っぽいこと言ってればたぶん大丈夫だ」
国語学年197位の俺には正しい表現を持つすべもない。
「でも、ハンバーグならギリいけそうだなあ。おかずになるくらいだし」
馬場の想像力は大した事ないのか、楽観的なだけなのか。
「別々に食べるから美味いものってのがあるからな。そう思うならチャレンジしてみてくれ」
と言いつつ、最終的には俺に振られるんだろうな、と悪寒は感じてみる。
「冗談、冗談。ちょっと爆弾仕掛けてみよって作っただけだから。パスタとわさびは1個づつしかないよ」
あーちゃんがしてやったり、と上から目線の視線を投げかけてくる。
「冗談になってないだろ、実際作ってくるとか」
作られたおにぎりをよく見ると、大きさは均一で全体に海苔が巻かれており、中身を予想するのは不可能に近い。邪眼をもってすれば可能かもしれないが。ってか邪眼って便利な設定だな。バトルものなら大概出てくる。
「でね、順番に食べながらわさびが当たった人には罰ゲームとか」
いやいや、わさび食ってる時点で罰ゲームだろうが。
