そうこう遊んでいるうちに、太陽が中天に差し掛かり、眩しいというよりギリギリと暑い日差しになってきた。
周りで遊んでいた他の海水浴客の数も相対的に少なくなっている。
時計を見なくても、昼飯時になったのを察知できるとはこれは便利。お得。お買い得。
「どーする、ここで食うか、いったん戻るか?」
本来はあーちゃんが仕切るんだろうが、由美や妹北田と水浴びに夢中なので、俺が仕切ってみた。
「そうね、折角だから海を見ながら食べたほうがおいしいでしょ」
あーちゃんの言葉に由美と妹北田は軽くうなずき、馬場も木田も同意するように首を縦にふる。
「まあみんながここでいいなら俺もいいが。後悔しても知らんからな」
「何を後悔するの?」
「ああ。あっちの空を見てみ。黒い雲が出てきてるだろ。たぶん、ゲリラ豪雨が来るぞ」
俺が顔を西の空に向けると、みんなもそれに習った。
西の空には入道雲がかわいらしく思えるほどの、真っ黒く、どす黒く、決して空島ではない雲が、ハイスピードで接近している。
「あー、確かにあれはやばそうな雲だな」
「そうね、私たちはパラソルの中にいればいいけど、馬場君たちは大変だね」
「いや、あーちゃん。ゲリラ豪雨はパラソルじゃもたんぞ」
「それって俺ら外決定ってことか?」
俺にはいつものやり取りなんだが、馬場には理解しがたいものだったらしい。
「けど雨降るならペンション戻ったほうがいいわね」
妹北田の声に由美も木田も頷き、あーちゃんも「そうね...フッ」と軽く吐息を吐いた。どんな悲しみヒロインだよ。
「んなら戻って昼にしよう。ゲリラ豪雨ならすぐに通り過ぎるだろ」
そういって俺たちは荷物を片手にペンションへと戻っていった。
ペンションに戻ると、受付で鍵を受け取り、借りている部屋へ戻った。
部屋に入ると、男性陣はパイプ椅子を開いて座り、女性陣は畳の上に座りながら、荷物へと手を伸ばす。
弁当が出てくるかと思いきや、手に取ったのはTシャツ。それを上から着込む姿を見ながら、男性陣はぼーっと餌付けを待っている。
Tシャツを着終わった由美から順に、今度こそ弁当箱を取り出し、順に並べてくれた。
「はい、お待たせ。結構な自信作だからね」
あーちゃんは胸を張るようにいうが、作ったのは由美だろうに。
「しかしあれだ、思ったより量が少ないな」
並べられた容器は3つ。それもそれぞれはさして大きくなく、仕出し弁当くらいの大きさだ。
男女差はあれど育ち盛り(とくに腹回りが)の高校生6人には少ない気がしたが。
「外で食べるつもりだったから、おにぎりにしてみたんだ」
由美がそう言いながら、弁当箱の蓋を順に取っていった。決して「いちま~い、にま~い」と数えないあたり、まだまだ芸人には程遠い。そう考える俺もまだまだだな、つまんないネタだし。
