「さて、と。残すはメドレーリレーだけだな」
由美の祝福が一段落つき、兄北田がハッパをかける。
「寺尾の入賞に負けないように、良いレースしなきゃな」
朝倉先輩の中では、入賞したのは由美だけらしい。
「安心しろ。浅野の頑張りも認めてるから」
近藤先輩は口数が少ない分、俺をいじる事も少ないから、ありがたい。
「そろそろ行きましょ。皆、頑張ろうね!」
部長の言葉を期に、メドレーメンバーが陣地を後にした。
で、結果としては、女子は予選1組でトップを取ったものの、総合は11校参加の中で7位。
男子も同じく予選1組でトップを取ったが、総合では参加12校中7位。
「今日は皆調子良かったのかな、凄かったわよ」
順位は7位でも、レース自体が気に入ったんだろう、藤木先生の顔も緩んでる。
「じゃあ明日から夏休みだし、明日一日は休みにしよう」
おお? まさかそんな特典が付いてくるとは。
「明後日からは夏休みメニューだからね。またビシビシしごくから、覚悟しときなさい」
ちょっと、それは余分な一言じゃないですか?
まあ明日休みなのは、単純にありがたいけどね。
「それにしても、今大会はちらし寿司並にいろいろあったな」
陣地を片付ける村山の横で、プールを眺めながら勝手な総括をしてみる。
決して片付けるのが嫌で、現実逃避している訳では無い。
「そうだね。けど浅野君は大会よりも、それ以外が大変だったんじゃないの?」
村山のくせに、俺をいじるつもりか?
「そうそう。なんてったって愛の力でW入賞しちゃったんだもんね〜」
大会中は出番がない西岡までいじりやがる。
「というか、西岡も彼氏パワーで、大会に出れるようにはならないのか?」
いじってくれたお礼は、いじり返すのが妥当かな。
「ああ、あれ。とっくに別れたから」
なに?
「だいたい男のくせに『部活と俺とどっち取るんだ』なんて聞いてくるような軟弱者はビンタしなきゃね」
お前はどこのブラコンアルテイシアだよ。