由美があれだけ慕ってた藤岡先輩を、4コースの選手は、そのレースの結果だけをもって見下したのが許せないのか。
「だから、絶対負けたくなかったのに。でも、結局勝てなかったし……」
そうしてまた泣き始める。
言葉ではなく、タイム、順位で打ちのめしたかったが、その力が自分に無かった事に憤りを感じるんだろう。
「それは悔しいだろうけど。けど、それをしても藤岡先輩は喜ばないぞ」
由美はちょっと理解出来ないだろうか、目で俺に説明を求める。
「だってそうだろ。藤岡先輩は水泳が好きで、楽しく泳ぐのが好きな人だ。そんな、敵討ちみたいな気持ちで泳いで欲しくはないはずだ」
それを聞いて、由美はハッとしたようだ。
「それに、そんな先輩だから、由美も藤岡先輩を慕ってたんじゃないのか?」
自分の考えていた事が恥ずかしいのか、俯いてしまった。
「第一、藤岡先輩の性格からすれば、由美と4コースの子が、理由はどうあれ、いがみ合ったり、一方的にでも、憎む様な感情を持つのを諌めるんじゃないか?」
……ちょっと言い過ぎたかな? この辺で止めておきますか。
「まあ、結果的にはベストが出たから、闘争心とか、競争心を持つのは良いんだろうが。やっぱり、楽しく泳いでベスト出した方が気持ち良いと、俺は思うんだがな」
「そう……だよね」
ん、分かってくれたみたいだな。
「それに、浅野君もそうなんだもんね」
まあこの場では俺の事はどうでもいいんだが。
「そうだな。楽しく泳がない由美には、お仕置きだな」
「ほよ? お仕置き?」
ほよ? って、どんなペンギン村のメガネっ子キャラだ?
「ああ。楽しく泳ぐか、お仕置きされるか、どっちがいい?」
「ちなみに、お仕置きの内容は?」
内容次第では、お仕置きを選ぶのか?
「チューするか、一日アフロ、かな」
「そんなの、どっちもヤダー!」
ちょっと待てい!
