ブルー・フィールド

 
 いくら由美の調子が良くても、対抗する4コースも調子が良ければ、これ以上は厳しいが。

 175mラインまでは4コースと由美が争い、頭一つ下がって5コースが食い下がる状態。

 3コースはスパートに遅れたか、身体1/3後ろに着いている。

 このままいけば、ラストのラスト、5mラインからのスパート勝負か。

「あら?」

 ノートを見ていた鷲見先輩が声を上げる。。

「どうしました?」

「それがね。寺尾さん、150のラップ、アベレージまで上がったわね」

 いまさら気付く?

 は、いいが。

 つまり、残り50mのタイム次第ではアベレージクリアどころか、ベストも有り得る?

 レースがラスト5mに差し掛かり、2人とも正真正銘のラストスパートに入る。

 どちらも差が付かない、付けれないまま、同時にゴール。

 どっちだ? と電光掲示板に目をやると

『1着 4コース 2:19:11』

『2着 6コース 2:19:52』

 ホントに僅かに由美が遅れたか。

 それでも

「さすが私の由美ね」

とあーちゃんが威張り

「すごいな。速いわ」

と、普段無口な近藤先輩までが褒める。

「あ。先輩。タイムは?」

 電光掲示板に出ているタイムは、2:19:52だが、ベストはいくつだっけ。

 しかし、前半100mと後半100mの差が1秒以内というのはちょっと凄すぎないか。

「当然ベスト出たわよ。2秒くらい縮めてね」

 だよな。

 ていうか、何かあったのか?

 ラストスパートでは、かなり無理に無理を重ねた感じだったが。


「浅野。迎えに行ってやれよ」

 いつの間にか戻ってきていた兄北田に言われるが。

「え? でも、それは」

 恥ずかしいとかじゃなく、やっぱり皆で迎えるものだろ。

「あんなペースで泳いだんだ。多分、疲れでへたばってるだろうからな」

 それもそうだな。

 あのちっこい身体で、いつも以上に頑張ってたんだし。