50mターン。
4コースを先頭に、次々とターンを決めていくが。
多少のミスはあるものの、各コース無難なターンをしていく。
明らかなミスターンを期待するのはムシが良すぎるか。
「ペース的にはアベレージよりちょっと遅れ気味ね。それでも何とか着いていけてるみたいだけど」
となると
「由美ちゃーん! 頑張れー!」
と、妹北田始め、皆、必死の声援を送る。
折り返しての75mライン。
トップだった4コースが、少しペース落ちたか、5コースと並んだ。
6コースの由美も、3コースに並ばれた感じだが。
「由美ー! 張れー!」
寝不足など関係無く、あーちゃんが声援を送る。
「浅野君も、深刻に見てないで、応援しなきゃ」
鷲見先輩は、何でこんなに優しい物言いなんだろう。
部内で唯一だよな。
「寺尾ー! 負けるなー!」
やはり声援で名前を呼ぶのは恥ずかしいので、寺尾になるのは仕方ない。
「あら? それだと寺尾さんには届かないわよ? ちゃんと『由美』って言わないと」
……前言撤回。鷲見先輩も、口調が大人しいだけで、俺をいじるのが好きな一人だ。
100mターンに差し掛かる辺り、4コースと5コースはほぼ同一線上。
由美は……ターンに入ったのは3コースより少し早い。
タイミング的にもバッチリだから、これなら差を詰められる事は無いだろう。
「ラップはどうですか?」
「アベレージで1:08:6だから、1秒くらい遅れているわね」
やはり、本調子には遠いかな。
125m、150mターンと、4、5、6、3コースと順位は変わらない。
フリー200mの場合、個人差はあるが、この100〜150m間は中弛みというか、安定期というか。
この後のラスト50mに備え、力を温存する区間でもある。
つまり、この50m区間で、どれだけ回復し、また、どれだけの余力を残すか、ラストスパート勝負になる。
