では気を取り直して。
「寺尾はやっぱり恋愛に興味はあるんだよな?」
質問の意味を理解できないのか、ポカーンという擬音のモデルになれるような顔をする。
「どういう事? 私も普通の女の子だよ?」
普通と言うのが一番普通じゃないと思うんだが、この際置いておく。
「それならいい。いや、何となく聞いていたから」
「え? 何を?」
あ、まずい事言ったかも。
「んっと、いや、中学時代に結構ラブレターとかもらってたって」
「あ、あれは、その、そんなんじゃないし……」
慌てて俺の言葉を否定しようとする。
「うん、それも聞いた。グループ交際みたいなもんだったんだろ」
「そうそう。だって、そんな、ね?」
ね? って聞かれても。
「だって、あの時から私は……」
ん? 自爆スイッチだったか?
「それに、そう言ってくれる人たちって、見た目は良かったり、部活で人気あったりしてたけど、強引で怖い人ばっかりだったし」
ああ、良くありがちな、ナルシストというか、男性主導というか。
肉食男子だっけ?あれも相手の事を考えていないと、単なる我が儘野郎なんだが。
あ、そんな我が儘野郎が肉食男子なんだっけ?まあそんなの俺には関係ないか。
「だから断ると後が怖いし、あーちゃんが、だったらグループ交際にしちゃえばって」
成る程。2人で考えた作戦だった訳か。
あれ?
「そもそもがあーちゃんに聞いた話なんだが、そんな事は言ってなかったぞ?」
俺の言葉に、バツの悪そうな表情をする。
「あーちゃんにも浅野君の話しはしてたから、多分、内緒にしてくれてたのかな」
内緒にする意味が分からないんだが。
「まあそれはいい。いや、もしかして寺尾は恋愛に興味が無いのかと思っていたからな」
「そんな訳ないよ。私だって、その……」
と黙り込んでしまった。
ん、そろそろ話としては終わりかな。
空もそろそろ薄暗くなってきた。
もうすぐ、かな。