乾杯の後、最初は、先輩達が新入生の中学時代の話を聞きだす展開。
俺の元へ北田先輩がやってくる。
「浅野は水泳部からだろ。どんなもんだった?」
ここで聞いてくるんだから、勉強のことではないんだろう。
「市大会で3位が最高ですから。大したこと無いですよ」
実際自分ではなんとも思っていないし。
しかし先輩の顔つきが変わる。
「3位って……何mでだ?」
「100mっすよ。でも3年の時だけなんで」
とそこへ朝倉先輩も近寄ってくる。
「おいおい、表彰台上がったのって、俺らん中じゃいなかったぞ」
「しかも100mだろ?こりゃ期待できるな!」
……期待って止めてください。ホント大したこと無いんで。
「んっと、高橋君は? 初心者っても体育の水泳とかはやってたんだろ?」
北田先輩? 俺は呼び捨てでしたよね?
「あの、僕は……15mくらいしか……」
大人しく、小さい声で答える高橋。
「もしかして、25mも無理なん?」
朝倉先輩は裏声で驚くが、当然だよな。それで水泳部ってなんで?
「はい……やっぱり、ダメですか?」
いつもぼそぼそ喋るから、普通に言っているのか気兼ねしてるのかイマイチ掴めない。
「いやまあ初心者なりに頑張ってくれれば全然いいけどな!」
この場面ではそう答えるしかないですね。
「村山君は、どんな感じ?」
マラソンでへばった仲間の村山だけに、高橋も気になるんだろう。
「村山はなあ、どうなんだっけ?」
予選とはいえ、同じレースに出たんだから、そこまでタイム差は無いはず。
「経験者だからそれなり、なんだろうけど。別に気にする必要もないだろ。泳ぐのが楽しければ」
オリンピックや世界選手権を目指すならともかく、高校生の部活でやる水泳なら、楽しむのが一番だ。
