「でも?」
「だって。純子ちゃんと話してる浅野君、なんか楽しそうだし」
あの漫才じみたやり取りを見れば、そう感じても仕方ないか。
「前にも言ったろ。大塚は単なる友達。村山や高橋と話してるのと変わらないんだって」
実際には村山や高橋では、ノリがイマイチな部分があるが。
決して俺のノリが世間一般とズレてるとかではないと思う。
「そうは言うけど……」
ん、ちょっと寺尾の真意を試すチャンスかな。
「寺尾は俺と大塚が仲良くするのが、何故嫌なんだ?」
「だって〜、2人が話しだすと、私の入る隙間が無いんだもん」
プイっという擬音が出そうなくらいに頬を膨らませる。
「成る程、しかしその答えでは赤点確実留年確定だな」
俺の言葉が理解できないんだろう、今度は不思議そうな表情をする。
「そういう時は『他の女の子と仲良くするのを見るのが嫌だから』と答えるのが一般常識だからな」
少なくとも現世を一般とすると間違いだろうが、どこかの二次元ではこんな常識もあるだろう。
どこかは知らないし、知りたくも無いが。
「そ、そんな。それは浅野君の好みでしょ!」
寺尾はそう言いながらも、いつもの笑顔が出てきた。
「まあ俺の好みを述べるのも、好みの相手だけだからな。間違っても大塚には言わないし」
……あれ? 今、何か余分なこと言ってないか?
「どういうこと、かな?」
さすがの寺尾も、顔を紅らめている。
「まあその話はいい。それよりも、ほれ、リレーだ。リレー」
場内アナウンスでは、リレーメンバーに集合をかけている。
「うん。そうだね。リレー頑張ろうね」
「ああ、頑張ろうな」
「で? そろそろいちゃいちゃタイムは終わりか?」
いきなり兄北田の声がする。
「まったく。どこ行ってるかと思ったら、2人で何してんだか。早く行くから、準備してこい」
他のメンバーはすっかり呆れ顔でこちらを見ている。
さすがに恥ずかしいな、こりゃ。
