85m付近、藤岡先輩が8コースを抜いたか?
「あと少し、もう一人!」
寺尾が祈るように両手を合わせている。
90m付近では、8コースの頭一つ前に出ている、7位に浮上だ。
そのまま、ラスト5mラインに入った。
ここで、前を行く2コースと並んだっぽい。これはラストスパート勝負だな。
そして、見た目の差は無く、同時にゴール。
「どうだった?」
寺尾が素早く結果に目をやるので、俺も電光掲示板を見た。
『6着 1コース 1:04:72』
『7着 2コース 1:04:94』
『8着 8コース 1:05:52』
「やったー!! 先輩、6位だよ! 6位!」
大はしゃぎしながら、バンザイ三唱をする寺尾。
自分の事の様に喜ぶとは、まさにこの状態だろう。
レースが終わり、藤岡先輩達出場選手が引き上げる。
「ひゃいん!」
「ひゃいん! って何語だよ」
寺尾に奇声をあげさせたのは、冷やしたポカリを首筋に当てたからだが。
まさかひゃいん、とは、予想外の奇声だ。
「もぉ〜いきなりなんてずるい!」
悪戯はいきなりだからおもしろいんだが。
「いや、一生懸命応援して疲れただろ。これ飲んだら、藤岡先輩のとこ行くか」
「うん!」
寺尾はゆっくりとポカリを飲みはじめた。
「ところで、桜坂女子は、やはり女子校なんだよな」
「え〜と、浅野君、何か悪いものでも食べの? あ! 寝不足なんだよね?」
いや、これは言い方が悪かったな。
「いや、女子だらけの水泳部って、恥ずかしいというか……」
「大丈夫! 誰も浅野君なんか相手にしないから!」
それはヒドくね?
「それとも、ハーレムに憧れがあるの?」
「いや、それはない。第一、ハーレムは描写が難しいから、更新が止まってしまう可能性が高いしな」
「よく分からないけど、とりあえず、大丈夫。私がいるから、ね」
はい?
「あ! その、あれ? なんか、違う! あ、早く行こ!」
なんだぁ? よく分からんが、とりあえず着いて行きますか。
