藤岡先輩から順に選手紹介されていく。
桜坂女子はさすがに有力校だけあって、応援もハンパなく大きい。
「せんぱーい! がんばってー!」
寺尾も大声で声援を送っている。
『位置について
ヨーイ
パーン!』
いよいよ、決勝レースが始まった。
藤岡先輩は綺麗なスタートを切るが、どのコースも綺麗なスタートで、スタートの差は無いようなものか。
しばらくして中央、4コースや5コースから水面に浮かび上がり、そこから左右のコースが徐々に浮かび上がってくる。
潜水中での差が表れる格好だ。
藤岡先輩は、うん、良い感じだろう。
「さくら先輩、どうかな?」
隣で寺尾は自分のことのように心配している。
「ん、スタートは大丈夫そうだけどな」
「だよね? 頑張って欲しいな」
しかし寺尾の思いとは裏腹に、藤岡先輩は徐々に遅れ始める。
いかんせん決勝進出と言っても予選は4組。
ベストタイムとしてはこの8人中8番目だ。
中央ライン、25mに差し掛かった。
大きく離されていないものの、先頭を泳ぐ4コースには身体一つ近くの差がある。
それでも下位グループ、2コースや6、7、8コースとは頭1つから身体半分か。
「これくらいならまだ盛り返せる差だな」
寺尾を元気付ける様に言ってみると、うんうん、と頷いている。
よっぽど藤岡先輩を慕っているんだろう。
45mラインに差し掛かるところ、やや遅れ気味の藤岡先輩に対し、各コースは次々にクイックターンを決めていく。
さすがに決勝レースに出る選手達だ。ミスの無い綺麗なターンばかり。
「藤岡先輩は後半強いのか?」
「中学の時は、あんまり、だったから……多分、今も……」
藤岡先輩は寺尾と同じ、先行逃げ切りタイプなのか。
他のコースがどういう選手達か分からないが、後半追い上げタイプであれば、藤岡先輩にはチャンスは無い、かな。
