疲れた、とはいえ1500m程の疲労ではないから、そのまま電光掲示板に目をやる余裕はある。
順位は3位か、3コーススタートだし、妥当な順位だな。
それよりもタイムは、と。1:11:55か。
とりあえずアベレージはクリアしたし、初心者バッタとしては及第点だろう。
ん〜まだ飯島先輩みたいには、やる気が出てこないなあ。
プールサイドを後にし、控え選手がいるベンチ脇を通り過ぎる。
「お疲れさん、よく頑張ったね」
出番を待つ飯島先輩に声を掛けられた。
「あんまり頑張った気がしないですけどね」
立ち止まり、そう答えると
「そうだそうだー! 全然頑張ってないぞー!」
二列後ろから笑いながらやじる大塚の声。
「……まあ頑張ってたと思うわよ、ご苦労さま」
飯島先輩はこのテンションに着いていけないんだろうな。
「はい。あ、先輩も頑張ってくださいね」
「あれ〜? 私には何もないの〜?」
「迷惑だから騒ぐな!」
まったく。他の生徒が引いてるじゃないか。
「浅野君は違う意味でも頑張らないとね」
だよな、と言うか、十分頑張ったつもりだが、報われていない気がするのは、気のせいだと思い込みたい。
陣地に戻ると、何やら先生は渋い顔をしている。
「浅野! なんだあの泳ぎは!」
いきなり怒鳴られた。何で?
「何だって言われても、一応アベレージは出しましたよ」
タイムとしては初心者タイムだが、今の俺には十分なタイムのはずだが。
「タイムの事じゃない! 泳ぎの事を言ってるの!」
はて? そんなにダメな泳ぎ方していたか?
「やる気がみえなかった!」
ああ、そういう事でしたか。
たしかに積極的なやる気は無かったけど、それなりにはやる気出してたつもりなんだけどな。
「まったく! シャキッとする!」
うーん、怒られてしまった。
