ブルー・フィールド

 
「あ、ヒロくんだあ」

 ……ん? この声は?

「はろう」

 振り返ると、相変わらずハイテンションな大塚がいた。

「え? そんな相変わらず可愛いだなんて」

「一体どこをどう聞き間違えたらそう聞こえるんだ?」

 隣で飯島先輩も呆れている。

「浅野君の周りはこんな人ばっかり?」

 飯島先輩も、俺の周りの人なんだけどね。

「何故大塚がここにいるんだ?」

「だって、ヒロくんがいるからじゃない」

 そう言って腕を組んでくる。

「バカ! 年齢=カレカノいない歴の皆さんを刺激する行為は止めろ!」

と自重を促した。

 ……はずなのに、何故か周囲からの視線が痛い。

「とりあえず、離れろ。てか、そういう行為をするな、とこの前言ったはずだが?」

 無理矢理押し離そうにも、水着姿は露出が多くて、迂闊に触れない。

「照れちゃって。まあレース前だし、今はこれくらいで、ね」

 いや、レース前とか関係無く止めろ。

「で? 何故ここに居る?」

「だって、もうすぐバッタでしょ」

 それは言われなくても知っている。

「大塚は市内の学校へいったのか?」

 たしかどこかにスカウトされていたはずだが?

「ちょっと酷くない?」

 進学先を忘れられて怒るのは分かるが、そもそも大塚と別の高校だと安心しただけで、校名には興味無かったからな。

「私は桜坂女子高校。ヒロくんの為に女子高にしたのに」

 後半は敢えて聞かなかった事にする。

「桜坂女子って名門じゃない!」

 先程までの呆れ顔から一変し、大塚をまじまじと見る飯島先輩。

「一応こんなエロエロ娘でも、タイムは凄いんですよ」

「そうそう、脱いでも凄いんです」

 ……褒めた俺がバカに見える。

「こいつを表彰台に上げるのは、市の恥ですけどね」

「あ! ヒロくん。中学の時みたいに、入し……」

「だが断る!」

「え〜返し早過ぎ」

 そもそもその約束を果たした記憶はないが?

「すまんがそろそろ行く時間だ。後は飯島先輩、よろしく!」

「え? ちょっと。何で私が?」

 困る飯島先輩を人身御供に、逃げ去った。