とそこへ

「あ、浅野君。私達のも一緒にたのんでよ」

 あーちゃんに頼まれ、2人の分まで注文。

 したのはいいが

「なにこの会計よろしくみたいな流れは?」

 寺尾は申し訳なさそうにしているが、あーちゃんは平然としている。

「今朝のモーニングコール代って事ね」

「それなら寺尾だけじゃないのか?」

「男が小さい事を気にしないの」

 わー出たよ、あーちゃん得意の何でもかんでも男は気にしない理論。

 別に、朝マック奢るくらいの金はあるが、奢る理由が無いんだよな。


 3人分の朝マックを持ち、伊藤部長の隣が空いていたので、そこに座る。

「今日の寺尾ちゃんの100mと明日の浅野君の1500。W入賞すると良いわね」

「え〜そんな。私はちょっと。でも、浅野君はやってくれますよ!」

 寺尾さん? 変なプレッシャーかけないでください。

「でも、久しぶりの入賞者が、天然ボケと人工ボケってのもどうですかね?」

 あーちゃんは友達をそう言えるのがすごいです。

「でも、ボケボケカップルで、良い感じじゃない?」

 部長? カップルとか余計な事言わないで。

「あわわ、そんな、カップルとか、まだ、そんな……」

 慌てる寺尾だが……まだ?

「あら? 浅野君、まだ押し倒してないの?」

「だから! 話、飛躍しすぎですから!」


 そんな会話の中、続々と集まってくる部員の最後に来たのが、瀬戸先輩と村山。

「相変わらず遅いな」

 兄北田が瀬戸先輩に話し掛けるが……どうも妹北田に話を聞いて以来、この2人のやり取りが気になる。

 あまり他人の事に首を突っ込むのも気が引けるので、気にしないようにはしているんだが。

「ほら、瀬戸ちゃん、行くわよ」

 二人が着いたのを確認した伊藤部長が立ち上がりながら声を掛けた。

 が

「あの、部長?」

「ん? もう時間だからね。瀬戸ちゃん達は食べてるヒマないもの」

 いや、それは分かってますがね。

「何故、空になった部長のトレーを、俺の前に置くんですか?」