『まぁいにち まいにち ぼくらはてっかんの〜ん〜〜』

 ん? 誰だよ、水泳部向きだとか言って、日本一売れながら印税契約しなかったから歌い手は儲からなかった歌を着うたにしたのは。

「もしかして寺尾か?」

『おはよ。何がもしかしてなの?』

 あ、違う、違う。

「寝ぼけただけだ、気にしないでくれ。とりあえず、おはよう」

『もう、大丈夫? 二度寝しないよね?』

「信用ないなあ。寺尾に起こされて起きない訳ないだろ」

『ホントに? じゃあまた後でね』

「サンキュ。また後でな」

 と言ったはいいが、眠い。

 時計を見ると、やはりまだ5時。

 大会も3日に分けてくれれば、もうちょっと朝ゆっくりできるだろうに。

 何とか踏ん張って起き、着替えと歯磨きを済ませる。

 家を出ると、さすがに真夏。

 この時間でも明るくなってきている。

 夏だなあ。


 集合場所の朝マックに着いたのは6時5分。

「おはようございまーす」

 着いた時にいたのは、伊藤部長と北田兄妹。

「朝メシ食うんだろ? 買ってこいよ」

 そう言われて、カウンターへ向かった。

「浅野君、おはよう。何にするの?」

 俺が朝マックメニューを見ていると、ちょうど、寺尾とあーちゃんが入ってきた。

「とりあえず軽くフィレオフィッシュかな」

「じゃあ、私も一緒にしようかな」

 寺尾はそう言いながら俺の横に列んだ。

「昨日、あれから大丈夫だったよな?」

 今朝一緒に来たんだし、何事も無かったのは解るが、一応確認だ。

「あ、あの、昨日の事は、全部忘れて?」

 何故に語尾が上がるか不明だが。

「全部というと、どこからどこまでを指すんだ?」

 多分、五島やら熊沢やらと言った中学時代の話の事だろうとは思うが。

「えっと、あのね……」

「次の方、どうぞ」

 寺尾の話をぶった切り、お姉さんが俺を呼んだ。

「また後で、だな」

「うん、そうだね」