ついに来ました、試験の季節。
期末試験は、まあスポーツマンらしく、参加することに意義がある、としておこう。
「参加するだけじゃダメだよ。30点以上とらないと」
「何を言っているんだい、村山君。世の中には追試という素晴らしい制度があるんだぞ」
2回も採点する先生にとっちゃ迷惑な話だろうが、相手が悪かったと諦めてもらうしかない。
「赤点とらない為に勉強会したのに、追試を当てにするの?」
勉強会をすれば赤点を逃れられるなら、世の中の高校生は勉強会くらいはするだろ。
「勉強会から早3日。忘れるには十分な時間が経過したさ」
勉強以外の事なら結構覚えてるんだがな。
ダンジョンのルートとか、イベントフラグの立て方とか。
G.I.のスペルカードなら未だに空で言えるんだが。さすがに試験には出ないよなあ。
3日間に渡る期末試験の初日から苦手の英語があるとは、教育委員会の嫌がらせに違いない。
しかも英語の後には社会だと? 花の慶次以外の歴史は解らん。
せめてマークシートなら埋めるだけだし、解答はできるんだが。
「で、結局、自信無しって事?」
帰り道、試験の話しで盛り上がる中、俺と寺尾はあーちゃんに睨まれる。
「だって。わかんないもんはわかんないもん!」
多分逆ギレなんだろうが、寺尾が逆ギレしても頬っぺたの膨らみが可愛らしく、そう見えない。
……あのほっぺ突いたら気持ち良さそうだな。
「俺はまあ選択問題はいける予定だから、記入問題が二つ三つ当たれば大丈夫な予定だが」
選択式は勘が冴えれば意外と当たるし。
受験の時もマークシートだったから結構楽に解けて、何が間違ったか、今こうして選抜クラスに配置されてしまったんだが。
「そんな予定予定で点が取れるなら、皆100点を予定するわよ!」
あーちゃんの言わんとする所は理解できなくもないが。
「簡単に100点を取るパーフェクト超人よりも、火事場のクソ力で逆転勝ちする正義超人の方が主役らしいじゃないか」