ブルー・フィールド

 
「とりあえず、メールを勝手に見せるのは道義的には間違いだから、やめた方がいいと思うぞ。まあ、村山のメールなら、問題は無いか」

「なんで! 僕のメールだってダメだよ!」

「何を言う。彼氏ならまだしも、奴隷のメールなら、別にいいんじゃないか?」

「だから! 奴隷ってなんで?」

 本人は気付いてないのか? 普段の行動が奴隷じみてるんだが。

「ならば聞こう! 村山と瀬戸先輩はどんな関係だ?」

 今まではいくら聞いても「ただの先輩後輩」としか答えなかったが、今日はついでだ。追求してやる。

「あの、それは……」

 言い難いのか、もじもじと口を濁す。

「村山君、言っちゃいなよ」

 妹北田も話にのってくる。多分、兄北田の事もあるからだろう。

「けど、その、なんて言うか、付き合ったりはしてないから……」

 この期に及んで、まだ言うか。

「では何故、今メールがきた? 俺には先輩からメールなどきた事ないが?」

 まあ瀬戸先輩とはしていないが、寺尾とはしょっちゅうしてるけどね。

「あの。実は、先輩から、付き合うのは、先輩が卒業してから、って言われてて」

 ん? どういう意味だ?

「理由は詳しく教えてもらえないんだけど、何か、同じ水泳部内では付き合えないからって」

 俺とあーちゃん、妹北田は目を合わせる。

 多分、兄北田の件があるからだろう、か?
 
「にしては、いつも仲良くしている様子だが?」

「そ、それは、その、一応、中学時代は、その……」

 成る程。中学時代は付き合ってたが、同じ高校、水泳部にいる間だけは、一旦恋人関係を解消、という事か。

 まあそれならそれで良いが、もっと早く言えばいいのにな。

「ん? という事は、やはり奴隷扱いでいいんじゃないか?」

「だから! わざわざ奴隷にしなくてもいいでしょ!」