問題点が分かったところで75mライン通過。

 中学時代はそれなりに強豪校だったから、順位もそうだがタイムも重要視されいた。

 個人だろうと、リレーだろうと、いつでも100%中の200%を出さなきゃいけなかったが。

 この学校では、とりあえず100%は100%で泳げばいいから、変な気負いも無く、楽しく泳げる。

 ということで何となく、で100mを泳ぎきったわけだが。

 電光掲示板を見ると、当然の如く2位の所に表示される7コース。

「お疲れさん、まあまあだな」

 近藤先輩のねぎらいの言葉をもらってプールから上がる。

「んー、何か張り合いなかったですね」

「まあ楽なレースだったな」

 兄北田はそう言ってすたすたと戻り始める。

「なんか淡白ですね」

「まあリレーはこんなもんやろ。先生が絶対に出場しないかんって言うで出とるだけやし。専門が全部揃ってないんじゃな」

 朝倉先輩も淡々と説明しながら撤収を始める。

「そんなもんですかね」

「変に学校の威信をかけた戦いとかされたり、それこそ女を巡る戦いに巻き込まれたりとかよりはマシだろ?」

「あ、先輩。それ後々の展開に出てくるかもしれないから、黙っておいた方がいいんじゃないですか?」

 多分、寺尾の彼氏の座を賭けた戦いがありそうだ。

 この作者なら、そういったベタな展開を、恥ずかしげも無く使うからな。