朝倉先輩のタッチを受け、兄北田のバッタスタート。
去年一年はメドレー要員ながらバッタをやっていたんだから、それなりには泳いでくれるんだろうけど。
「どうよ?」
泳ぎ終わった朝倉先輩が、プールから上がってきた。
「まあまあなんじゃないですか? 多分」
先輩に向かって差が開いたとか言えないし、適度にごまかしてみる。
「多分って、またいい加減なやっちゃな。ちゃんと見とれ!」
気を使ったのに、何で怒られなきゃいけないんだよ。
兄北田は近藤先輩の言うとおり、一般的な水泳部員の速さよりやや下、かな?
しかし競合する3、6コースもバッタ要員なんだろう、兄北田の方が速い。
「へえ。いい感じじゃん」
朝倉先輩はそう言うが、4コースには引き離されてますよ?
ってか、4コースのバッタって俺が100mのバッタに出た予選で、隣のコースで泳いでた奴じゃないか?
顔は覚えていないが、高校生らしからぬハーフスパッツを履いていたから、何となく印象にあるだけ。
あれを履きながら予選敗退とか、陰で笑われてるんだけどね。
それでも俺よりも速かったのは速かった。けど所詮予選1組の2位か3位。
トータルでは70人位の出場者の中で、多分60位くらいだろう。
それより後の俺は、まあ最下位ではないものの限りなく最下位に近く、それより遅い兄北田は、もし個人で出ていたらどうなっていたんだ?
「まあメドレー要員だし、そんなに気にする必要ないって」
いや、その後に泳ぐフリー選手の身にもなってくださいって。
幸い最下位じゃないからいいようなものの。
兄北田の50mターン、4コースとは8〜10m差かな。
それとは逆に、3コースには2mくらいの差をつけ、6コースはその後方、5mといったところか。
「案外北田より遅い奴もおるもんやな」
「これなら浅野も楽に泳げるだろ」
先輩達は気楽だよな。
メドレーリレーのフリーはその学校の最終種目の最終泳者だから、出来の良し悪しで、大会の総括に関わってくるから嫌なんだけど。
