25mライン過ぎ、立花先輩は2コースを抜き去り、単独4位に浮上。
しかしこの先が。
柳沢さんと競ったからか、バッタでリードを広げていった4コースとはかなり離れている。
「ここから抜くのはきついですよね?」
確認するまでも無い事だが、一応聞いてみる。
「だな。フリーは層が厚いし」
どの学校にもフリー選手は複数存在し、やはりそれなりに速い選手がリレーに選ばれる。
立花先輩は個人だけで言えば予選9組なんだからそこそこ速いんだが、個人種目の時と、リレーの時というのは、同じように泳いでるつもりでもどこか勝手が違う。
俺の経験上でも、個人種目では勝った選手に、リレーの時に追いつかれた、追い抜けなかったという事は多々あったし。
「で? 詳しくはスポーツ心理学博士にってか?」
「いや、ですから朝倉先輩。今のは会話部分じゃないんですって」
まったく、落ち目の芸人が久々のゴールデンで目立とうとしてるんじゃないんだから。
レースの方はその後はある意味淡々としていく。
立花先輩のスピードには2コースは追いつけず、かといって立花先輩も前を行く4コースには追いつけるわけも無く。
ゴール時には前も後ろもいない、単独4位という結果に終わった。
「予選1組で4位。どうかね?」
兄北田はそう首を傾げるが、特に問題にはしていなさそう。
「ま、出れればいいんだから。それと、最下位じゃなきゃ、な」
こちらはいつものように軽い調子の朝倉先輩。
「ま、ご苦労さん、だな」
近藤先輩からしても普通のことらしく、落ち着いた口調がこれ以上ないほど落ち着いている。
女子のメドレーリレーメンバーの帰り道、昨日と違い、何も問題もなく「おつかれさま」と「頑張って」のやり取りをしてすれ違う。
別に何か問題が無いと落ち着かないとかじゃないからいいんだけど。
