ブルー・フィールド

 
 折り返してからの25mライン、通算75mまで到達したところで、部長は2コースを抜いたが、7コースもぴったり隣に付いている。

 泳ぎを見ていても、7コースの方が自然な泳ぎ、逆に部長は先輩たちの言うとおりバテが出ているかな?

「なかなか速いな、7コース」

「さすがに部長でもこれはかわしきれないだろ」

 などと先輩達は冷静な分析をしている。

 タイムや順位は良いに越した事はないが、特にこだわらない我が校の校風なんだろう。

「あ〜いったな、こりゃ」

 朝倉先輩の言葉の通り、ラスト約10mで7コースが頭一つ分ほど前に出た模様。

 ブレストの場合、スパートを掛けると言っても、一掻き一蹴り一呼吸の原則があるため、他の競技ほどのスパートにはならない。

 逆に早く手足を動かそうとすれば、県予選クラスの選手では、しっかり水を掴めなくなるだけで、スピードは変わらない場合が多い。

 残り5mラインでは斜めからでも判るほどに7コースが前に出ているようだ。

「せっかく2コース抜いたのにな」 

 兄北田が残念そうに言うとおり、部長は抜いて抜かれて結局3位でバッタの飯島先輩へとタッチした。


 飯島先輩は高校でバッタをやり始めた、俺と同じメドレーバッタ要員。

 とは言え、一年間やっているんだから、それなりに形は出来ているし、今回の大会でも個人種目で、フリーの出場枠が無いから、とバッタに出ていた。

 結果は参加することに意義がある、高校生の大会らしい結果に終わったんだが。

 本人がそれで満足しているから、それでいいんだけど。

 タッチと同時に飯島先輩が飛び込む。

 同時ってのはちょっと遅いが、まあフライングよりマシだけど。

 飯島先輩から遅れる事約2〜3秒? 4位の2コースも飛び込んだ。

「2位争いが熾烈ですねえ」

 何気に言ってみたが、これが予選1組目だって事を考えると、ちょっと悲しい。