「昨日は予選1組でトップ、今日は予選2組で2位だったな」
昨日の100mは参加選手は約70人。総合順位は60位くらいになるか。
今日の200mは参加選手は55人。総合順位でいくと40位くらいかな。
しかし鮎川はなかなか良いペースで、快調に飛ばしてる。
1組目は7校しかエントリーされていないが、とりあえず25mラインまででは2番手につけている。
しかし、25mを過ぎた辺りから、鮎川のペースが落ちた?
いや、3位の2コースが上がってきたみたいだな。
というのも1位の5コースとはあまり差が変わらない。
「2コースはいつもスタートが悪いからな。多分50m手前で抜かれるだろ」
「近藤先輩、詳しいっすね」
「ああ。あいつは中学の時の同級生だから」
「んでもって、近藤の片思いの娘、だよな?」
お? 朝倉先輩の口から衝撃の真実が白日の下に曝された!
「いや。うちの部の皆が知ってる事だから」
あらら。まあ一年以上の付き合いならそれくらいは話しするわな。
近藤先輩の予想通り、2コースはぐんぐんペースを上げ、50mターン手前で鮎川を抜き去っていく。
「どんな人なんです? あの2コースの人」
俺が聞くと、あからさまに言いたくないオーラを発する近藤先輩。
この手の話は嫌いな先輩だと知ってるけど、やっぱ気になるし。
「名前は矢倉美奈。結構可愛いぞ」
横から朝倉先輩が口を挟んでくると、近藤先輩も仕方ないな、といった表情ながら、やっぱり自分では何も言わない。
まったく、無口な人だ。
「近藤もバックだから、仲良くなったんだって。な?」
兄北田がツイッター並のフォローを入れる。
「へえ、いいですね。そういうの」
「何言ってんだ? お前も同じようなもんだろ?」
「ちょっと! 何でそこでこっちにふります? 今は近藤先輩の話でしょ?」
「だってなあ。いじって面白いのはやっぱり浅野だし」
おいおい、俺はおもちゃか?
