ブルー・フィールド

 
「見たとこ、完全初心者ね」

「やっぱ専門から見れば違うか?」

「専門じゃなくても……あれを見て分からない方がおかしいでしょ?」

 確かにそうだな。

 素人目に見ても、あれで水泳部員のバッタには見えないだろう。

「バッタといえば、ヒロくんもバッタやってたよね? 昨日」

 俺は予選1組、大塚は多分予選は最後の方だから、控えのベンチではニアミスだったんだろう。

「まあな。正確にはやらされていたんだがな」

 すると大塚はククッと笑いながら

「私に言ってくれれば、手取り足取り……」

「だが断る!」

「まだ言い終わってないよ〜」

「だから、お前はエロゲ思考が強すぎなんだって」

 というかそれがエロゲ思考だって分かる俺の思考も十分エロイな。

「で、コーチしてあげているの?」

「また会話が戻るのか。着いていくのが大変だぞ」

「ヒロくんがコーチ、ねえ」

 なんだ? 不満か? いや、不安、だよな。普通。

 俺自身がまだ素人に毛が生えた程度だし。

「昔から女の子には甘かったからね。コーチの時くらい厳しくしないと、ちゃんと指導できないよ」

「そうか? 女子にもそれなりに厳しくしてたつもりだが。男子みたいに蹴ったりはしなかったが」

 ん? なんか鮎川の俺を見る目がちょっと変わった。変な事言ったか?

「浅野君って、もしかしてDV系?」

 鮎川が恐る恐る聞いてくる。

「まあ昔の話だ。それに最近の子は軟弱で、親父にも蹴られた事無い奴らばっかりだったから、丁度よかったんじゃないか?」

 そもそも俺はキック力より、腕力で泳ぐタイプだし。

「でもヒロくんは、女の子にはアマアマだもんね〜」

「そんな事はないだろ。例え女の子でも、つまらんボケには容赦無くスルーしてやるからな」

 ん? 鮎川の目が憐れんでる様に見えるが?

「自分のボケが一番つまんないってのは、気付いてないんだ」