「それで? 入部希望なんだよね?」
寺尾は確認してくるように尋ねてきた。
「ん? ああ、そのつもりでここ来たんだが……先輩達はいないのか?」
部活紹介の日だ。見学に来る生徒がいるのは分かりそうなものだが。
「みんなマラソン中だよ。見学の人は私たちが相手するから」
ねぇー! と言って顔を見合わせる寺尾とあーちゃん。
「二人はもう入部したっていうこと?」
俺の横に居たのであろう、すっかり会話に置いてきぼりをくっていた村山が割り込んできた。
「うん。ここの部長が中学の先輩だからね」
あーちゃんがそう答えてくれれた後
「あ、けど私はマネージャーだから」
と付け加えてくれた。
あーちゃんはその後もぺらぺらと良く回る舌で説明を続けてくれる。
顧問は体育の女性教師(ちょい期待)
三年生は女子4人のみで、内マネージャーが2人。
二年生は女子3人に男子4人。
10人以上在籍が無いと部活として認められないため、男女別の部にはならないらしい。
当然、今年の新入生から最低3人(寺尾とあーちゃんは確定だから実質1人)確保が至上命令、らしい。
「ということで、浅野君が入ってくれればノルマ達成だからね」
あーちゃんの説明の後、寺尾が笑顔で言ってくる。
そんな笑顔をみせられたら、入部するしかないじゃないか。
……あれ?
「あの、僕も入部希望なんだけど……」
村山の存在はすっかり忘れていた。
「えっと……浅野君の友達?」
「えっ?!」
あーちゃんも同じクラスのはずなんだが。
「いいんだ、どうせ僕なんか……」
村山はそう言っていじけるが、そう堪えている様子ではない。
多分慣れているんだろう。
「僕は村山光一。岬さんと同じクラスなんだけど……」
はて? 岬って誰だ?
「ちょっと! 浅野君! 私の名前知らないって顔してるわよ!」
とあーちゃんが怒っている。
